「サインする前に、何を見ておけばよかったんだろう」——マレーシアで部屋を借りたあとに、そう感じる人は少なくありません。契約書は英語で書かれていることが多く、細かい条項を確認しないまま進んでしまいがちだからです。ここでは、サインする前にチェックしておきたいポイントを整理します。
日本の賃貸とここが違う
| 日本 | マレーシア | |
|---|---|---|
| 賃貸を専門に定めた法律 | 借地借家法がある | 専門の法律はなく、契約書の内容と一般の契約法(Contracts Act 1950)が基本 |
| 礼金(お礼のお金) | 慣習として存在する地域が多い | 礼金にあたる慣習は基本的にない |
| 契約の法的効力 | 契約書への押印で成立 | 印紙税(Stamping)の手続きをして初めて、裁判などで正式な証拠として使える契約書になる |
つまりマレーシアには、日本の借地借家法のように「借主を手厚く守る専門の法律」がありません。契約書に書かれていることがほぼすべてになるため、サインする前の確認がより重要になります。
サイン前チェックリスト
- 契約期間と早期解約の条件:多くの物件は1年契約が基本。途中解約の違約金や、「Diplomatic Clause(外交条項)」の有無を確認します。
- デポジットの内訳:家賃保証金(Security Deposit)、公共料金の保証金(Utility Deposit)、家具・設備の保証金(Advance Rentalなど)に分かれるのが一般的です。
- 修理・メンテナンスの責任範囲:エアコンの故障や水漏れなど、どこまでがオーナー負担かを確認します。
- Stampingが済んでいるか:印紙税の手続き(Stamping)がされていない契約書は、後でトラブルになった際に法的な証拠として弱くなることがあります。
- エージェントの登録状況:Negotiator(PEA/REN)やReal Estate Agent(REA)のタグ番号を、Board of Valuers, Appraisers, Estate Agents and Property Managers Malaysia(BOVAEP)で確認できます。
豆知識:契約書の「Stamping」とは
マレーシアの賃貸契約書は、Inland Revenue Board(LHDN)で印紙税の手続き(Stamping)をすることで、法的に正式な契約書として扱われます。Stampingされていない契約書自体が即座に無効になるわけではありませんが、裁判などで証拠として使う場面で不利になることがあるため、済んでいるかどうかを確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. マレーシアの賃貸契約書に、日本のような「クーリングオフ」はありますか? A. 一般的な賃貸契約に、日本の特定商取引法のようなクーリングオフ制度はないとされています。サインする前の確認が、日本以上に重要になる理由の一つです。
まとめ
- マレーシアには賃貸専門の法律がなく、契約書の内容がすべて
- デポジットは3種類に分かれるのが一般的
- 契約書のStamping(印紙税の手続き)が済んでいるか確認する
- エージェントの登録状況はBOVAEPで確認できる
契約書は自分の言葉で理解してから
英語の契約書を読み慣れていないと、細かいニュアンスを読み落としてしまうことがあります。気になる条項があれば、サインする前に確認したり、第三者に見てもらったりすることをおすすめします。不動産エージェントとのやり取りや契約書の内容確認について、日本語で相談したいときは、LOCAL SIDEのチームにも相談できます。